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冬の夜をきみと~メリー・クリスマス~ 2
玄関の扉を開けると、テレビの音が聞こえてきた。そっとリビングの扉を開けると。
「……居た」
ソファで寝ている省吾が、居た。
寝顔を見つめながら、胸が苦しくて堪らない。もうずっと、会いたくて会いたくて、肌に触れたくて、脳裏に浮かぶ姿に焦がれていた。
省吾が、来てくれた。
会いに、来てくれた……。
「ん……」
小さく唸り、ゆっくりと瞼が開いていく。
「……あれ、ハル」
目を擦りながらむくりと起き上がり、照れたように笑った。
「よぅ、お帰り」
「……ただいま」
少し跳ねた省吾の髪を梳くように撫で、そのまま身体ごと引き寄せて抱きしめた。
「く、苦しいって」
呻く省吾を更に強く抱きしめる。
それから腕を緩め、唇に触れた。
久々のキスを何度も重ね、唇を離すと省吾はハァと息を吐き、大きな瞳で俺を見上げて何か言いかけるけれど、その唇を再び塞ぐ。
話したい事が沢山ある。
伝えたい気持ちも、くだらない話も、全部。
でも今は、もう少し。
ただ、触れていたい。
「省吾……来てくれて、ありがとう」
キスの合間に囁けば、微かな声で「別に」と答える。瞳を伏せて「来たかったから来ただけだ」と言葉を続ける恋人が愛しくてたまらない。
「嬉し過ぎて、どうしたら良いかわからない」
「……そうかよ」
「会いたかった……こうして、触れたかった」
「……」
顔を真っ赤にしてだんまりを決め込んだ省吾が可愛くて、力一杯抱きしめたら、痛ぇんだよと怒られた。
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