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冬の夜をきみと~メリー・クリスマス~ 6
「名前を呼んで、省吾」
「ん……ハ、ル……」
「省吾、大好きだよ」
歪めた表情が微かに和らいだように見えた。
省吾の中は狭くて、俺の肉棒にみっちりと張り付いてくる。狂おしい程の快感に、俺も目を閉じ身体を震わせた。
「省吾、全部入った」
「や、言うなっ……」
「わかる? 俺の全部、飲み込んでる……省吾の中に、俺がいるの、感じる?」
ゆるゆると腰を揺らせば、甘い吐息が聞こえてくる。
少しずつ動きを大きくして、結合部を擦り付ければ、省吾も腰を揺らし始めた。後ろから省吾の片足を持ち上げて割り広げ、深く密着させると、恥ずかしがっていた声もしだいに大きくなっていく。
体位を変えて正面から抱きしめれば、夢中ですがりつかれた。
「そんな可愛い姿を見せるのは、俺だけにして」
流れ落ちる涙を舌先で舐め、唇にしゃぶりつく。
「ここも、全部、俺だけのものにして」
「そ、んなの……」
「省吾、省吾……ああ、どうしたらいい」
下から突き上げる衝撃に顔を歪める省吾が愛しくて堪らない。
ぬめりを帯びた省吾の先端が俺の腹に擦りつけられる度に、省吾は蒸気した頬に涙を伝わせ、息を荒げた。
「あっ、あっ、あっ……ハ、ル、また、いっちゃ……」
「省吾、出して、俺にかけて」
「んっ、う、あ、あ……っ!」
省吾の白濁を受け、全身をゾクリと何かが突き抜けた。
欲しい。足りない。もっと。
省吾の全てが欲しい。
肌を打ち付ける音と省吾の喘ぎ声が響き渡り、俺は省吾の中で果てた。
ぐったりとした身体を抱きしめ、絡み付くように何度も唇を重ねる。
ああ、足りない。全然足りない。こんな自分じゃ足りない、駄目だ。
もっと、努力しなければ。不安が消えない、安心できない。
この声も、唇も、髪も、肌も、心も、全部。
手に入れたすべて、何があっても離さない。
誰にも、渡さない。
自分の中に芽生えた狂気に似た感情は、自身をゆっくりと飲み込んでいく。
それはやがて甘やかな快感へと変わり、俺の身体に腕を回し息を吐く省吾を、強く抱きしめた。
<終>
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