170 / 428
風邪とプリン 4
翌朝。
唇に柔らかなものが触れ、すうと眠りから覚めて瞼を開くと、目の前には省吾の驚いた顔。
「な、何だよ起きてたのかよ」
「今、目が覚めた」
慌てて離れようとする省吾の身体に腕を伸ばし一瞬で引き戻すと、離せとジタバタ暴れだす。無駄な抵抗も可愛い。
「今、キスした?」
「知らねー」
「ねぇ今省吾からキスしたよね俺に」
真っ赤な顔をして言葉に詰まる省吾の額に手をあて、熱が引いている事を確かめる。と同時に額にキスを落とし、瞼へ。更に頬へ、鼻先へ。
それから唇へと辿り着き、吸い上げるようにキスをした。
「ん、待っ……し過ぎだばか!」
暴れる省吾の両手に阻まれ中断されてしまう。いいじゃないか、省吾からしてくれたくせに。
「俺にうつして省吾が治るならその方がいい」
「んな後味悪りぃ事は嫌だ」
「熱は引いたようだけど、今日は一日寝ていたほうがいいね」
「いい、もう治った」
薬のせいだと気付かないところが子供と一緒だ。
そんな省吾にまた悪戯したくなる俺も意地が悪い。わかっているけどやめられない。省吾の可愛い反応が見たくて、意地悪をしてしまう。
「そう?じゃあ昨晩出来なかったし……しよっか」
「は? 朝っぱらからアホかお前。やるわけねー……わ!」
省吾の悪態なんて無視して腰を引き寄よせてみれば、早速上がる抗議の声。
「手ぇ離せ」
真っ赤な顔で睨まれても無視。
身体を丸めて逃れようとする身体ごと引き寄せて、首すじに紅い花弁を落とす。
ともだちにシェアしよう!