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愛はどうだ 3

『あ、それでね。お節料理食べられないの可哀相だから、作って年末持ってくわそっちに』 「いや全然いらねぇからマジで、ほんと」  来られても困る。まだ紹介とか、心の準備が。 『あ、そう。作ってくれる彼女でもできた?』  でた。昔から煩いんだよなこういうネタ。居ても絶対家には連れていかなかったけど。息子の恋愛事情に興味津々なところは、はるか昔の幼稚園時代から変わらない。 『お友達とシェア始めちゃう位だからいないか』 「あー、そうだな」 『まさかその男の子とお付き合いとかないわよねー』 「……」  カラカラと笑っているけど、今俺をかなり動揺させてるぞ。なんて恐ろしい母親だ。  お土産に海パン買ってくるわね~と言う母親を適当にあしらい通話を切った頃には駅に到着し、階段を登りながらハァとため息をついた。  まぁ、でも。  いつか言わなきゃなあ、とは思う。  ハルとはずっと一緒にいるつもりだし。  ……ハルは。 (どう思ってんのかな)  そういやお互いそんな話したことない。まだ早い、と思う自分もいる。 (あ、考えたら頭痛くなってきた)  早く帰ってビール飲も。

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