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愛はどうだ 4

 発車直前の電車に滑り込み、空いている手摺りに手をかけた。  帰宅ラッシュ程ではないけど隙間がない程度に混み合った車内で、ふと隣の女が視界に入り、思わずチラリと視線を向けた。  というのもエライしかめっ面。眉間にシワ寄りすぎだって。  痴漢でもいるのかと更に視線を伸ばすと、その後ろには五十代位だろうか、まあどこにでもいるスーツ姿のオッサン。  このオッサンがまた困った表情を浮かべてるもんだから、どうしたのかと視線を下げてみると。 (あー)  人混みに押されて鞄が手前の女に当たって困ってるわけか。  ああいうの面倒だから俺は通勤時は常に手ぶらだけど。で、両手手摺り。  大丈夫かなと少し気にしたところで、見事に声が上がった。 「ちょっと、やめてください!」  女の声に周りの視線が集中する。  ああ、出た。勘違い女。  思い切り背後のオッサンを睨みつけるもんだから、オッサン動揺してるし。 「わ、私は何も」 「さっきからお尻に当たるんですけど!」  気の強そうな女の声に、なんかムカついた。  うぜぇ女。

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