205 / 428
ホワイトクリスマス 4
で。
結論から言うと、しくじった。
「やべぇ……」
酔って帰ったらハルが不機嫌になるのは目に見えてるから、自分の酒は極薄めでごまかし、先輩には若干濃いめで酒を飲ませた結果。
顔に出ない体質だったのか、気が付けば立ち上がれない程に泥酔、あげくテーブルに頬杖を付き眠り始めてしまった。
「完全に飲ませ過ぎたな……佐藤さん、帰れますか? ほら起きて」
支払いを済ませ、先輩の腕を引きなんとか立ち上がらせる。
「香取……眠いぃ」
そのガチなラグビー体型で言われても可愛いどころか恐怖しか生まれない。勘弁して欲しい。
「俺マジで佐藤さんはおぶれませんよ、タクシー捕まえますから頑張って自力で歩いて下さいっ」
どうにかこうにか店をでてタクシーを捕まえ、後部座席に巨体を押し込む。
「佐藤さん、住所言えます? 北区のどの辺?」
うにゃむにゃしか言わない先輩の様子に痺れを切らしたタクシーのオッサンが、俺にも乗れと言いはじめた。
マジか。
腕時計を確認すれば、時刻は二十三時十分。
(終電乗れなかったらハルにキレられんだろうな……)
とはいえ飲ませ過ぎた責任も感じ、渋々俺もタクシーに乗り込んだ。
いびきをかきはじめた先輩を横目にため息をつきながらコートのポケットからスマホを取り出すと。
「げ、こわ」
不在着信二十五件。
ライン通知二十八件。
オール、ハル。
恐すぎる……。
ともだちにシェアしよう!