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ホワイトクリスマス 4

 で。  結論から言うと、しくじった。 「やべぇ……」  酔って帰ったらハルが不機嫌になるのは目に見えてるから、自分の酒は極薄めでごまかし、先輩には若干濃いめで酒を飲ませた結果。  顔に出ない体質だったのか、気が付けば立ち上がれない程に泥酔、あげくテーブルに頬杖を付き眠り始めてしまった。 「完全に飲ませ過ぎたな……佐藤さん、帰れますか? ほら起きて」  支払いを済ませ、先輩の腕を引きなんとか立ち上がらせる。 「香取……眠いぃ」  そのガチなラグビー体型で言われても可愛いどころか恐怖しか生まれない。勘弁して欲しい。 「俺マジで佐藤さんはおぶれませんよ、タクシー捕まえますから頑張って自力で歩いて下さいっ」  どうにかこうにか店をでてタクシーを捕まえ、後部座席に巨体を押し込む。 「佐藤さん、住所言えます? 北区のどの辺?」  うにゃむにゃしか言わない先輩の様子に痺れを切らしたタクシーのオッサンが、俺にも乗れと言いはじめた。  マジか。  腕時計を確認すれば、時刻は二十三時十分。 (終電乗れなかったらハルにキレられんだろうな……)  とはいえ飲ませ過ぎた責任も感じ、渋々俺もタクシーに乗り込んだ。  いびきをかきはじめた先輩を横目にため息をつきながらコートのポケットからスマホを取り出すと。 「げ、こわ」  不在着信二十五件。  ライン通知二十八件。  オール、ハル。  恐すぎる……。

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