211 / 428

ホワイトクリスマス 10

 木々に。  ベンチに。  外灯に。  片隅に置かれた自転車に。  粉雪は音もなく、静かに降り積もる。  明日の朝にはきっと、街中が白く染められているのだろう。  俺はスマホをポケットに戻し、ベンチから立ち上がってハルを見上げた。 「メリークリスマス」 「なんだよ、調子いいな」 「雪だし。寒いし。帰ろうぜ。コタツ入って鍋食いたい」  ハルは呆れたようにため息をついてから、ふっと笑った。 「……うん、帰ろう」  それから俺達は並んで歩き出した。  ふたりの家に、一緒に帰ろう。 『メリークリスマス』 <終>

ともだちにシェアしよう!