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ホワイトクリスマス~おまけ~

「大変だったんだよ、デカイ先輩担いで」  風呂上がりの髪もまだ乾かさぬうちにベッドに押し倒されながら、とりあえず今日の出来事を話して聞かせる。  だからすげぇ疲れてるんですと遠回しに伝えたいのが本音。 「お疲れ様。大変だったね」  それを軽く聞き流し、俺の上にまたがるハル。だめだ、やる気満々だ。  明日も仕事なんだけどなと思いつつ、俺のシャツを脱がしにかかるハルの動きに身を任せていると。 「……なんだこれは」  低い唸り声が響き、むくりと顔を上げたハルの表情に息を飲む。 「あ」  忘れてた。 「なんでこんなところにこんなでかいキスマークがついてるんだ?」 「ま、待てよく見ろ! 歯形ついてんだろ、先輩が酔っ払って」 「身体を許したっていうのか」 「やめろその言い方めっちゃキモいわ! しょうがねぇだろ、いきなりすげぇ巨体が」 「巨……」  目を見開くハル。 「巨根!?」  いやそうかもしれねーけどそこはみてねぇよ。 「勝手に妄想膨らますな馬鹿。噛み付かれて吸われただけ……」  そこで言葉に詰まり、唾を飲み込む俺。  ハルの形相が。 「浮気は大罪だよ」  悪魔が降臨した。 「待っ……被害者だろ俺はどう考えても!」  むしろ慰めて欲しい。  そんな願いも嫉妬に狂う悪魔には通じず。  明日、俺は仕事に行けるんだろうか。 <終>

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