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ハピハピ・ニューイヤー 4
十二月三十一日ももうすぐ終わろうとしている頃。
ハルと俺は何をしているかっていうと、この夜中に風呂場で小競り合い。
「省吾、急いで掻き出すからほらじっとして」
「はっ……ばかもっと優しくしろっ!」
「急がないと年明けちゃうだろ」
年明けとともに乾杯をして新年を迎えたいというハル。
「だったらあんな時間からやり始めるんじゃねぇよ!」
「だって、ふうふうしながら蕎麦を啜る省吾を見てたらこう、ムラムラしてきちゃって」
アホだ。
忙しなくシャワーを浴びた後、力の出ない俺の頭をバスタオルでガシガシと拭きあげながらTシャツを被らせズボンを履かせるハル。
出来た嫁だと感心しながら、されるがままの俺。
そのままリビングまで引きずられ、こたつに収まった所で、冷えたビールが現れた。
うん、やっぱり出来た嫁だ。
テレビではカウントダウンが始まっている。
「省吾」
「んー」
「今年も一緒に居てくれて、ありがとう」
笑顔で見つめられ、急に心臓が跳ねる俺。
なんだこれは。俺は乙女か。
「……俺も」
時計が0時をさした瞬間。
乾杯するのかと思いきや、瞬きをした瞬間キスをされた。
触れるだけの、優しいキス。
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