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愛のしるし 3
「ほら、早く用意して実家行けって。親父さん待ってるだろ」
「うん、でももう少しだけ」
ハルは頭の上から文字通りキスの雨を降らし、気がつけばシャツのボタンまで器用に外し、胸に腹に音を立ててキスをしていく。くすぐったいなと思いながらもされるままに身を任せ、ハルの柔らかな髪を撫でた。剛毛で真っ黒な俺の髪とは全然違う。薄茶色の柔らかな髪質は、優しくて柔軟なハルのイメージそのままで、さわり心地がとても良い。わしゃわしゃと触り続けていたら、何してるのと笑われた。
こたつでぬくぬくしていた俺はあっという間に引き抜かれ、ソファの上に移動させられた。
シャツがはだけて寒い。早くこたつに戻りたい。などと呑気に考えていたら、ベルトまで外され始めた。
胸の尖りを執拗に愛撫され、じわりと身体が熱くなる。
「お前……出かける気あんの?」
「あるよ」
笑顔で答えながら、俺のベルトに手をかけてるのは何なんだ。
「省吾の、鎮めてから出かける」
もう熱いし、と言いながら半勃ちの俺を躊躇いもせずに口に含むハル。
「ばか、お前が触るからだろっ……」
言いながらも吐息まで熱くなってくる。
ぞくぞくと沸き上がる快感の波に耐えながら、こんなハルを知っているのもきっと俺だけなんだなと考えたら、胸がきゅうと痛くなった。
先日聞いた、ハルの言葉を思い出す。
『省吾に選択権はない』
ばかだよな。
俺はお前とずっと一緒にいることを、自分で選択したんだよ。
耐え切れない波に襲われて、前屈みに身体を傾けハルの髪に指を絡ませた。
「ハル……い、イクっ……」
目で笑うハルが見える。
強く吸われた瞬間、ハルの口の中で果てた。
俺の頬を優しく撫でつけながら、「俺の方は夜まで我慢するからね」と微笑むハルの圧がすごい。
「省吾、飲みすぎてうっかり終電に乗り遅れたりしないようにな」
最後の最後まで念を押され、扉がしまった後にやれやれと溜め息を吐く。これで終電を乗り過ごしたりしたら、間違いなく俺の身はヤバイんだろうな。正月から喧嘩なんてしたくないし、周りに流されないように気をつけないと。
「あいつキレるとほんと恐えぇからな……」
リビングへ戻った俺は気を取り直し、大好きなこたつでぬくぬくと温まりながら久保田の萬寿をちびりちびりと楽しんだ。
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