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愛のしるし 14

 締め付けられていた喉を解放され咳き込んだ次の瞬間には、強い力で髪を掴み上げられていた。  その痛みに思わず声を上げた俺の頬を、晃のもう片方の手が撫で付ける。 「ずっと、ずっとだ……手も出さずに、ずっと大事にしてきたんだ」 「……く、あきらっ……」 「俺がお前をどんだけ大事に可愛がってきたか、お前自身わかってるだろ」  振り上げた腕を掴まれ、締め付けられる痛みに汗が滲む。晃の力の強さは昔からだ。だから誰も逆らわない。 (この……馬鹿力っ……)  やんちゃだった頃の晃を思い出す。  頼んでもいないのにずっと俺の傍にいた晃に、俺は確かに守られていた。 「お前が好きな女とうまくいくなら、それでいいと思ってた。女だから、許せたんだ……お前は男になんて、興味なかっただろ?」 「う、るせ……そんなん、今だってそうだ、俺はハルにしか興味ねぇっ……」 「ハルっていうのかそいつ」  ゾクリと悪寒が走る。  再び喉に手がかかり、ぐっと締め付けられた。もがいても解放されず、喉からひゅうと音が漏れる。 「いつからだ? 正直に言え」  何でそんな事をお前に言わなきゃならないんだ。俺はお前の所有物じゃない。 「いつからこの身体をその男に触らせてんだよ……お前は俺のもの、なのに」 「あ、き……っ」 「男にもってかれるなんて、冗談じゃねぇ。俺はお前を傷つけないように、ずっと」  苦しい。  晃、苦しい……。 「自分を抑えてきたのに……」  なにを?  泣きそうな顔の晃を初めて見たと思った直後、唇を塞がれ、晃の舌が俺の中に入ってきた。逃れようとしても全身で身体を押さえつけられて、よじる事すら出来ない。  なんで?  嘘だろ、晃。  なんで。  必至で晃の舌から逃れようとしても激しく絡み付かれ、口内をぐちゃぐちゃにかき回されていく。  なんで。

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