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愛のしるし 16
晃はいつだって優しかった。
なんだかんだと俺の世話を焼く晃を時々うっとおしく思いながらも、嬉しかったんだ。だから何でも一番に話したし、誰よりも信頼してた。
俺は晃の優しさに甘えるばかりで、晃がどんな気持ちでいたかなんて、考えもしなかった。
唇が離れ、荒い息を繰り返す俺の顎下に晃の腕が押し込まれ、再び喉を圧迫される。
ひゅうと喉を鳴らし、視界に入る白い天井をぼんやりと見上げていた俺は、突然の冷涼感に襲われて目を見開いた。
どろりとした冷たいものが何なのかと、頭の隅で理解しながらも舌が動かない。
「嫌だ、晃……頼む、離せ」
「省吾、ここにどんだけ男をいれたんだよ。形でわかるんだぜ、なあ……」
晃の指先が孔に触れ、身体がビクリと震える。
「さ、わ……なっ……」
「答えろよ、省吾」
ぬめりを帯びた指先が焦らすように孔の周りを擦っていく。
「あき……やっ……!」
必至で暴れても晃の肘は俺の首を押さえたまま、身体は俺から離れる事なく、指先が後孔にあてられた。
「い、やだ、あきっ」
「ずっとこうしたかったのに……省吾、何で他の男なんか許したんだよ」
「う、あっ……!」
自分の中へ侵入する異物感。晃の指先が自分の中へ入ってくる。自分を見下ろす晃の表情は影になってなにも見えない。内壁をぐるりと弄られ、中をかき混ぜられる度に水音が響く。
「ふっ、うっ……ぁ、」
「こんなに柔らかくしやがって、色気垂れ流してんじゃねぇよ……ぐずぐずじゃねえか、省吾っ……」
異物感の質量が増して、更に激しく貪られる。目尻から涙が溢れて流れ落ちていく。喉からは掠れた声しか出てこない。息が苦しい。胸が痛い。下半身に力が入らない。俺は今何をされているんだ。卑猥な水音が耳に響く。聴きたくない。これは現実なのか。俺を拘束しているこの男は誰だ。
嘘だ。
嘘だ。
嘘だ。
これは、夢だ。
こんな奴、知らない。
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