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愛のしるし 24

「もう、二度としない」 「……ったり前だ」  目の前の晃がユラユラ揺れて、瞬きしたらポロリと涙がこぼれ落ちた。  あんなに泣いたのに何でまだ出るかなと、頭の隅で冷静に呆れる自分がいる。  ただ、さっきまでのとは少し違う。  なんていったらいいのか、わからない。 「お前に泣かれることが、なによりこたえる」  消え入りそうな晃の声。  どんな時だって自信満々で自信過剰で俺様主義の晃が。  そんなお前、見たくねぇ。  でもお前もきっと、今の俺なんて見たくねぇんだろうな。  晃は俺の頭に手を置きそっと髪を撫でる。俯いたまま動かずに居ると、ゆっくりと立ち上がり部屋を出ていった。  背後で扉が閉まる音が聞こえた後、俺は声を殺して泣いた。  時間が欲しい。  色んなもんが、溶ける時間が欲しい。  溶けて、流れて、消えたら、きっと。

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