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愛のしるし 25

 パンパンに腫れた目の処置を諦め、始発電車に乗り込んでからやっとスマホの画面を開いてみると、不在着信とライン通知の表示。  ハルの着信表示に気を取られていて気付かなかった。  それは青木からだった。  昨晩のうちに受信していたらしい。  あいつの事だからアホな正月コメントだろうなと思いながらも通知を開く。 ◇◇◇◇  あけおめー!  ハルに香取の帰省先住所聞かれたから教えといたよ  年明け早々喧嘩?  そっち行くと思うから仲直りしてねー ◇◇◇◇◇◇  スマホを落としかけ、慌てて掴み直す。  ハルはここへ来たのか? (ハルの事だ、聞いて来ないはずがない)  でも俺は会っていない。何も言わずに帰ったのだろうか。 (なんで……)  なんで? (違う)  ハルの着信は、そうだ。  晃と居た時に来た電話が最後だ。そのあとは電話もラインも来ていない。  その前までは、ハルは何度も電話をくれたのに。  心臓がバクバクと音を立て始め、額にじわりと汗が滲み出る。  嫌な予感しかしなかった。  ガランとした列車はほんの数人がまばらに乗車している程度で、目の前では朝帰りだろうか、若者が鼾を書いて寝ている。  まったりとした正月の始発電車。  その中で俺は一睡も出来ずにただ、電車に揺られながらぼんやりと車窓を眺めた。

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