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愛のしるし 30

◇◇◇  頭が痛い。ズキズキする。  ゆっくりと瞼を開き、ベッド脇の時計に目をやると、十二時を回ろうとしてた。  カーテンの隙間から漏れる陽射しをぼんやりと眺めながら隣に腕を伸ばしてみても、ハルの姿はなかった。  その手を転がったままのスマホへと伸ばし、ずるずると引き寄せる。ハルから連絡が来ているかもしれないと期待しながら画面を開くと、不在通知が出ていた。それはハルからではなく、完治からだった。  あいつが電話なんて珍しいな。  何か忘れ物でもしただろうか。まさか晃に掘られかけたとか、バレてないだろうな。  嫌な予想しか浮かばないままとりあえず電話をかけてみると、三コールで繋がった。 『やっとかけてきやがった、おっせーよ』 「寝てた」 『お前地元に何送り込んで来たんだよ』 「なに?」 『ハルって何、お前のダチだろ』  ハ……。 『聞いた話、晃の居場所探し回って、見つけた晃をボコったらしいぞ』  耳を疑った。  ハルが、何だって? 『現場は見てねぇんだけど、晃から連絡きてさ。入院するから着替え持ってこいって、正月からパシらされたんだけど俺。ウケルわ』  パ……。  その時ガチャリと寝室の扉が開き、振り返るとハルが立っていた。

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