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愛のしるし~おまけ~

 年明けの仕事始めは、各チームごとに取引先への挨拶回りをして一日が終わる。  最後に職場から近い神社へお参りへ行ってひとまず外回りは終了。  事務所祈願を終え、さて帰るかと移動が始まった頃、別ルートで回っていた青木達と合流した。何か食べて帰るかと話しながら歩き始めると、隣に青木がやってきてコソリと耳打ちをしてきた。 「ハルと仲直りした?」  そうだ、思えばこいつも一役かっていた。  実家住所を教えたのはこいつだったな。 「別に喧嘩じゃねぇし」 「そうなの? まあじゃあ良かったー。あ、万優さん!」  適当な返事を返し、前方に美人姉さんのチームを発見するなり走って行く後ろ姿は完全に犬っころだ。ビチビチと振りまくっている尻尾が見える。  あいつは今年も犬なんだろうな。  まぁどーでもいいかと再び歩き始めた時。 「香取くん」  呼び止められて振り返ると、綾香ミツルがいた。  ハルの地元仲間だ。  絶対にこいつにはハルとの関係を知られたくないと、常々警戒している。 「何?」  アヤカはニコリと笑い、俺の隣に並んだ。  並ぶとさらにちっこくて、子供みたいだなあと心の中でひとりごちた時、綾香は俺を見上げてこう言った。 「お正月にハルと会ってね、香取くんと一緒に暮らしてるって聞いてびっくりしちゃった」  ……ハイ? 「大学の頃からのお友達なんだってね。ハルのお友達と同じ職場だったなんて、偶然て凄いなあと思って」  ニコニコしながら言葉を続けるアヤカの声なんてもう耳に入らなかった。  ハル、帰ったらまずぶっとばす。 <終>

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