258 / 428

AAA 4

◇◇◇ 「……疲れた」 「省吾、シャワーは」 「も、いい。あと」  まだ熱の残る俺の身体を抱きしめながら、器用に毛布と布団をかけてくれるハル。 「熱い、布団いらねー」 「すぐに冷えるから駄目。風邪を引く」 「んじゃお前がちょっと離れて、マジ熱い」 「それも駄目」  逆にぎゅううと締め付けられ、面倒になった俺は抵抗する事を諦めた。せめて布団から顔だけでも出したいんだけどな。  目の前にはハルの引き締まった胸。  無駄な肉がないよなと感心しながら、ペロリと舐めてみる。汗のしょっぱさをほんのりと感じる。 「省吾、終わったそばから誘ってるの」  ぐいと身体を引き上げられ、やっと布団から頭を出せたけれど、気分はまるで釣り上げられた魚だ。 「誘ってねーよ、仕返し」  だと言い切る前に唇を塞がれた。でも激しくはない。ぎゅうと抱きしめられながらの、長い、長いキス。  こんな時、いつも思う。  ハルはどうして、俺の事好きなんだろう。  ハルから溢れ出る愛情が、俺の中へと流れ込んでくる感覚。  そしていつも、それを上手く返せない自分に苛立つ。  俺も好きだ。すげぇ、好きだ。  でも俺の愛情は、お前に半分でも伝わっているだろうか。  やっと離れたハルの唇から小さなため息が漏れて、俺はハルの顔を見つめた。ハルは俺に不満かもしれない。愛情が足りないと、寂しく思っているかもしれない。 「省吾、どうしたらいいんだろう」 「何が」 「省吾が俺から離れようとしたら、俺は省吾を殺してしまうかも知れない」  唐突な物騒発言に、喉からひゅっと声が漏れた。  綺麗な顔を切なげに歪めながら言われると本気すぎて恐えぇ。でもそれも、俺の愛情表現不足のせいなのかもしれないと思えば、考えなければいけないと真面目に考えてみる。  けれど段々可笑しくなってきて、とうとう笑いが漏れてしまった。 「笑うな、俺は本気だ」 「てか、いらねー心配とか考えんの無駄」

ともだちにシェアしよう!