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幸せになる方法 2

 ハルとふたりで暮らし始めて四ヶ月が過ぎたけど、それなりにうまくやっていると思う。  平日の朝食は俺より一時間も早く家を出るハルが作ってくれる事が殆どで、夕食は早く帰ってきた方が用意する。ふたりとも遅い時は各自適当に済ますか、帰宅時間が重なれば一緒に外食したりもする。掃除は分担、洗濯は俺の係。でもこれもまあ適当。  料理は得意でない俺の冬料理といったらとりあえず鍋。市販の鍋スープを使って、鶏肉と野菜を煮たら完成。ちなみにこれと同じ要領で、おでんバージョンもある。簡単で美味いんだから最高だ。手の込んだ料理はハルに任せる。  そんなお手軽鷄鍋を作り終えた頃、ハルが帰ってきた。 「ただいま。今夜は何鍋?」  嬉しそうに後ろから俺を抱きしめるハル。 「危ねぇから離れろって。コンロ用意して」  はあいと素直な返事をして離れると、ハルはダイニングテーブル上にカセットコンロや皿を準備していく。 「どうしたのこれ、買ったの?」  ハルの声に振り返れば、テーブルに置きっ放しにしていた福豆の袋を手にとり、不思議そうな顔をしている。 「ああ、会社で貰ったんだよ。イベントの景品」  鍋を運びながら答えると、そういえば週末は節分だっけと思い出したように呟く。 「折角だから豆まきしようか」 「しねーよ」  冷蔵庫から缶ビールを二本取り出しハルに手渡すと、二人分のグラスにゆっくりと注いで泡を上手に作っていく。ハルの基本は職人気質だから、ビールの注ぎ方もこだわりが凄い。なのでここはハルの担当。  いつものように軽く乾杯してからごくりと喉に流し込み、ふたりして同時に息を吐く。冷えててうまい。 「あったかい鍋と冷たいビール、最高だね」 「最高だな」  グツグツと湯気をたてる鍋を囲み、ビールを飲みながらハルの話に耳を傾ける。  穏やかな時間の流れは疲れた心と身体を癒してくれる。ひとりじゃこんな時間は得られなかった。目の前にハルが居るから。 「ビール空いたね。取ってくるよ」 「あー、サンキュ」  ハルが席を立ち、そのまま冷蔵庫へ向かうのかと思いきや、テーブルをまわりこちらへ来た。ふいに身体をかがめたハルに視線を向けると、触れるほどのキスを受けた。 「冷蔵庫行くんじゃないのかよ」  照れ隠しに素っ気なく言えば、ハルは目を細めて微笑んだ。

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