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幸せになる方法 4
二月三日。
揺り起こされ、眠い目を擦りながら窓の外を覗き見れば辺りは一面の銀世界。
どうりで寒いと思った。
「省吾、早く着替えて。買い物に行くよ」
「げ、何言ってんのお前。外見ろよ、雪だぞ雪」
「もう止んでるよ」
「てか寒い。寒いの嫌い。家出たくない」
「恵方巻の材料買いに行くって言っただろ。文句言わずにさっさと用意して」
なんでもない事のように爽やかな笑顔を浮かべるハル。任務遂行に忠実なそういうところ、もう少し柔軟になってほしいと常々思う。
時計を見ればもうすぐ十時。
「恵方巻ね……んじゃ出前とろうぜ」
言いながらベッドへと戻り再び布団にくるまった俺に痺れをきらしたハルは、強行手段とばかりに掛け布団を両手で引き剥がしやがった。
「怒るよ? 約束しただろ」
なんだよ恵方巻くらいで。そんなに眉間にしわよせて睨む事ないだろ。てかもう怒ってるし。
渋々起き上がり用意を終えて外に出た頃には、十一時を回っていた。
雪はやんでいるけど、道行く人の姿はまばら。
節分について蘊蓄を傾けるハルの話に適当な相槌を打ちながら、コートのポケットに両手を突っ込み、肩を丸めて歩く。
程近いスーパーに到着すると、惣菜コーナーの人集りが目に入った。覗いてみれば様々な恵方巻が並んでいる。海鮮太巻、キンパ太巻、こだわり玉子の恵方巻、などなど。
「へえ、こんなに売ってるもんなんだな。これでいいじゃん」
ひょいと手にとった恵方巻は、ハルの手によって元に戻された。
「作った方が楽しいし美味しいよ。省吾が好きな具で作ろう」
「具って、何でもいいのか」
「何でもいいんだよ、七つの具を使うんだ」
「七つ?」
「そう、七福神にちなんでの七」
へぇ。
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