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幸せになる方法 7

 やがて笑いも落ち着いて、お互いどちらからともなくはあと息を吐いた後。  仰向けのまま隣のハルに顔を向けると、ハルもこっちに顔を向けていた。 「はは……この行事、俺には向かなかった」 「そうだね」 「やっぱ飯は、会話しながら食うほうが美味いし」 「行事なんだけどね」 「そうだけどさ。……願い事なんていつでも頭にあることだし、それに」  すぐ傍にあるハルの右手の指先に自分の指を絡めれば、望む通りに握り返された。 「こうするだけでも、今がどんだけ幸せかってわかるし」  あ、ハル笑ってやがる。なんだよ人が真面目に。  そう思った時には唇が重なっていた。  うん、まあ、そういうこと。  来年から我家では、恵方巻まるかぶり行事は廃止だな。  でもふたりで恵方巻を作るのは楽しいな。  ふたりで作って、ふたりで食べたらいい。  そうしよう。  そうだ、さっき吹いたところ片付けないと、ハルに怒られるな。  なんて事を考えながら、降り注ぐハルのキスを何度も受け入れ、俺を抱きしめるその身体をぎゅうと抱きしめた。

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