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スイートバレンタイン 7

 嫌がる省吾をあやしながら器用にシャツを脱がせ、ホールケーキのチョコレートクリームを指先で掬い上げる。我ながらとんでもなく行儀が悪いなと口の端で笑いながら、ツンと立ち上がった二つの尖りにクリームを盛り付けるように塗りたくり、汚れた指を省吾の腹に擦りつける。真っ赤な苺を一粒手に取り、省吾にはこっちをあげるねと、口の中へ優しく押し込んだ。 「もがっ……」  苺を口に押し込まれて顔をしかめながらも、もぐもぐと咀嚼する省吾は堪らなく可愛い。多分絶対に怒っているだろうけれども。省吾の表情に満足してから横腹へ左右の指を滑らせば、ひくひくと身体を震わせた。省吾は横腹も弱い。  へそから鎖骨に向かって舌腹を押し当てるようにゆっくりと舐め上げ、省吾の身体が粟立っていくのを目で見ながら胸についたクリームを丁寧に舐め続けると、やがて鼻から漏れるような微かな吐息が聞こえてきた。  省吾の乳首は付き合い始めの頃からじっくりと開発し続けた努力の甲斐があって、今では第二の性感帯だ。わざと音を立てながら周りのクリームを舐め尽くし、現れた尖りを舌先で転がせば、もっと刺激が欲しいとばかりに胸を突き出してくる。二つの尖りを同時に親指と人差し指で強めに捻り上げ、更にそれを口に含んで先端を舐めてやると、可愛い喘ぎ声がリビングに響いた。 「も、やめろっ……」  顔を上げて省吾の顔を見下ろせば、両目を潤ませて俺を見上げる省吾が瞳に映る。半開きの口元に吸い付き唇を重ねると、省吾の方から舌先を出してきた。やめてほしいなんて態度じゃない。嬉しくて絡みつけば、甘酸っぱい苺の味がした。 「俺ばかり食べていて、これだと省吾がケーキを食べられないね」  省吾の背中に両手を回し、抱え起こしてひょいとソファへ座らせた。Tシャツもスウェットも脱がされてすっかり裸の省吾は、ぎょっとした表情で目の前にしゃがみ込む俺を見下ろした。それを気に留める事なく、既に体積を増して立ち上がっている省吾の息子にちゅうと音をたててキスを落とす。 「おい、なにすんだってば」 「これなら省吾もケーキを食べられるよね」  フォークで一口大に取り分けたケーキのかけらを省吾の口元へ差し出すと、素直にパクリと口に入れて、もぐもぐと咀嚼した。可愛い。再び指先でクリームを掬い取り、今度は省吾の屹立に塗り付けて、それを舌腹で舐め始めた。 「おまっ……こんな夜中から変態プレイに盛り上がるんじゃねぇよっ」 「ふふ、たまにはいいよね」 「よくねぇっ……!」  手も使って扱き始めれば、再び吐息が聞こえ始めた。快楽に弱い身体に躾けたのも自分だと思えば、愛しさも倍増だ。唇と舌と唾液を使ってしゃぶりあげ、微かな声で「いく」と聞こえた瞬間に、口と手を離して高ぶりを止める。 「っ……!!!」  なんでやめるんだと抗議の眼差しを向けられながら、続きはベッドでしようねと口角を引き上げた。

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