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スイートバレンタイン~おまけ~1

◇◇◇  平日の深夜だというのにひとしきり濃厚な情事を堪能したあと、クリームまみれになった省吾に散々怒られながらも一緒にシャワーを浴びて、心も身体もスッキリした頃には午前二時を回っていた。 「なにこれ、今日貰ったの?」  ダイニングテーブルの上に置きっぱなしにしていた紙袋に気付いた省吾が中を覗き、漁りだした。 「うん。省吾は誰かから貰ったの」 「んー、ねぇよ。朝から男だらけの研修だったし、夜もそのまま飲みだったし。明日会社いったら、事務所のねーさん達からの義理チョコが机に置いてあるんじゃねーかな」  そうか。しつこい女がいないようなら良し良し。 「この丸い箱美味そう」 「食べていいよ」  頂いたからには俺も少しは食べるけど、流石に完食するのは厳しい。甘党の省吾がいてくれて助かる。  それにしてもさっきはケーキを食べて、更にこの時間からチョコレートまで食べようとする省吾の身体がむしろ心配だ……。 「ハル」 「ん?」 「なんかカードついてるけど」  カード?  振り返ると、省吾の手には小さなカード。丸い箱は確か佐和さんからいただいたものだ。 「体調不良時やお疲れの時にはいつでもどうぞ。ベッドはいつでもあけてます♪」  カードを読み上げた省吾が白い視線を俺にむけた。  慌ててカードを奪い取り、見れば確かにそのままの内容。 「お前、会社でなにやってんの」 「何の想像だっ、この人は所内保険医だから」 「ふーん」  まいっけど、とどうでもよさそうな返事を返され、なんだか腑に落ちない。  どうでもいいけど腑に落ちない。 「あ、またカード発見」 「わ、ちょっと待」

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