294 / 428

スイートバレンタイン~おまけ~2

 慌てて袋ごと省吾の腕から奪い取ると、さらに白い目を向けられた。 「別に隠さなくたっていーじゃねぇか」 「隠すわけじゃない、けど、確認してから」  慌てた俺が可笑しかったのか、クククと笑う省吾。 「お前が女ウケすんのに今更どうとも思わねぇよ。それより俺からお前になんもやってないな」 「別にいらないよ、甘いもの苦手だし」 「ケーキ貰ったし。甘いもんじゃなくてもいいだろ」  こっちに寄れと言われるまま傍に立って見れば突然腕を引かれ、頭を引き寄せられた次の瞬間には、省吾からキスをされていた。  驚いて固まったままの俺の舌に省吾の舌がからみつき、強く吸い上げられた後、唇に噛み付かれ、ちゅうと音を立てて吸い上げられた。  記憶の限りではこれまでに無かったかもしれない、省吾からの濃厚なキス。  唇が離れ、省吾を正面から見つめると、少し赤い顔で照れたように口角を引き上げた笑顔。  省吾、このプレゼントは。  チョコよりもケーキよりも、ずっとずっと。 「甘い……溶ける」 「お前が溶けるっておかしいだろ」 「突然過ぎたのでもう一回」 「アホか、しねーよ」  俺の前で頬を緩めて笑う省吾が一番の甘いプレゼントだなと思えば、嬉しくて嬉しくて、やっぱりまた強く抱きしめてしまって、加減を知れと怒られた。 <スイートバレンタインおまけ:終>

ともだちにシェアしよう!