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Cheese☆Pizza 2

◇◇  無理矢理連れてこられたといっても、いざ身体を動かしてみるとやっぱり気持ちが良いもので、気付けばあっという間に時刻は昼をまわっていた。  ランニングマシンから降りて辺りを見回すと、いつのまにやらジムは人で溢れている。  見れば二十代から三十代が殆どで、比較的若い層が多いジムだなとひとりごちながらハルを探しつつ館内を探索していると、筋トレマシンが並ぶスペースでハルの明るい髪色を発見した。  マシンで汗を流して……いるのかと思えば、若い女達にかこまれている。 (王子様はジムでもモテモテか)  さっさと一人で風呂に行くかと引き返そうとした時、ハルがこちらに気付いてやってきた。 「省吾、休憩?」 「疲れたしもう風呂入る」  ニコニコしながら俺を見下ろすハルの背後にふと目を向け、俺は気付いてしまった。  ハルに熱い視線を向けているのは、若い女だけじゃない。  汗を流しながらムキムキ鍛えているあそこの兄ちゃんとか。  凄い。熱視線が凄すぎる。ガン見じゃねぇか。 (おお……)  ドン引きの俺の心に気付く様子もなく、タオルで額の汗を拭きながらハルが言った。 「うん、じゃあ俺も入る」  その瞬間、ガシャンガシャンと音を立てていたマシン数台がピタリと止まり、ガタガタと片付け始めた数名のマッチョ達。 (おお……)  入るんだろうな、あいつらも風呂。 「省吾? どうかしたのか」 「……別に」  こいつってアレだな、頭良いくせに自分に関しては本当に鈍いっていうか、アホだよなあ……。

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