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Cheese☆Pizza 3
風呂はそれなりに混んではいたがそれ以上に敷地が広く、ちょっとしたスーパー銭湯だ。
「ここ、スパ目当てで会員になる人も多いらしいよ。確かに広くていいね」
「へぇ、そんなんチラシに書いてあったか」
「いや、さっき女の子達から聞いた」
あっそ。
隣同士でカランの前に座り、ガシガシと頭を洗いながらくだらない話をしていると、ハルがふと思い出したように口を開いた。
「そういえば省吾がランニングしてた時、後ろのマシンで走っていた男が怪しかった」
「なにが」
「省吾の背中から足にかけて、後ろ姿を舐めるように見つめ続けていた」
あほか。
「前向いて走ってただけだろ……てかむしろ前向いて走ってないほうがやべーだろ。怪しいのはお前のフィルターだっての」
「省吾、俺の予想と勘は鋭いんだ、前にもいっただろ」
「あーハイハイ……」
どーでもいい。
つーか自分の事に鋭くなれよ。
「先風呂入ってるわ」
まだ頭を洗っているハルを置いて、一足先に湯船へと足を踏み入れた。少し冷えた身体にじわりと熱が染みていく心地よさ。
やっぱり湯船は良い。家でもなるべく浸かるようにしないとだめだな。
なんて事を考えながら、だんだん眠くなってきた俺。
うとりうとりとしはじめた頃、下半身に何か違和感を感じ、閉じかけていた目を開けたと同時に、湯の中で大人しくしていた俺の息子が何かに触れた。
もにょり。
ハッとして視線を落とすと、右横から「あ、すみません」と謝罪の声が聞こえた。振り返れば俺より少し年が上だろうか、若い男がしれっとした顔で抜かしやがった。「すみません」?
って、ちょっと手があたった位の物言いだけど何だ今の。
こいつ今絶対握っただろう、俺の息子。
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