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Cheese☆Pizza 4
ぎょっとした直後にぞわわと悪寒が身体中を走り抜け、とりあえずこの場から離れる事にした。
こういうのには関わらないほうがいい。我ながら冷静な判断、と落ち着いたのもつかの間。
つ、つ、つ、ついてきた。
ついてきたよこいつ……!
今度は更に図々しく、隣に腰を降ろすなりぴたりと腕を密着させてきた。更には正面を向いたままぼそりと口を開き、のたまった。
「この後は何してるの」
来た。マジか。しかもいきなりタメ口って、何なんだこいつは。
「そっちの趣味はねえよ」
慌てて距離をとり、きつく言い放ったつもりが途端に目を輝かせ始めた男。
「あ、いいなその眼。そそる」
文字通り舐めるように俺を見つめる視線に全身鳥肌。睨みつけて喜ばれるとかマジ勘弁。
「いつも○○線乗ってるよね」
「は?」
「何度か見かけて気になってたんだ、こんな所で会えるなんて」
さりげなく伸びてきた手を振り払っても怯む気配はまるでない。
「この辺に住んでるんだ? 一人暮らし? ここの会員? 俺の名前は……」
うぜぇ。
ため息をつき、面倒臭いからもう出るかなと腰を上げた瞬間、背後からグイと肩を捕まれた。
振り返ればいつも通り柔和な表情のハル。
そのまま俺を横に押しやり、男と俺の間に無理矢理入ってきやがった。
いやその選択はおかしいだろこんだけ広い空間の中で。
これはこれで、またうざい。
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