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Cheese☆Pizza 5
「省吾の知り合い?」
「知らね」
湯舟のヘりに肘をついたまま適当に返事を返すと、ハルは眉間にしわを寄せた。
「初対面の方に対してその態度は失礼だろう」
は?
瞬きをしてハルを見返した俺から視線を外すと今度は男の方に向き直り、オーラが立ち昇る程に完璧な笑顔のまま、口を開いた。
「無愛想な奴ですみません、連れが失礼しましたか」
は?
文句を言おうと口を開きかけた時、男はモゴモゴと口ごもりながらその場を離れ、そのまま逃げるように風呂場から出ていった。
「? 何だアレ」
ポカンと口を開けたまま閉まった扉に目を向けていると、先程とはうって変わった不機嫌な声が聞こえてきた。
「さっき言ってた男だ」
振り返ればジトリと俺を睨んでいる。
「さっき?」
「省吾の後ろで走っていた奴だよ。やっぱりそうだっただろ」
「あ? あー……」
「大体さっきの態度は何だ、隙がありすぎなんだよ省吾は」
「何だよ隙って」
「付け入る隙を与えてるって、わからないのか」
「は? つか何、俺が悪いとか言ってんのお前? 意味わかんね」
ムカついてきた俺がブスッと返すと、ハルも不機嫌全開で返してきやがった。
「もう少し周りをよく見て危険察知能力を向上させるべきだ。こんなところでうたた寝して」
「お前は俺の保護者か! ちっちゃい事ガタガタいってんなよ、うぜぇ」
「保護者じゃない、こ」
「だあっ! 変な事言うな!」
ハルの言葉を掻き消すと、それが大層気に食わなかったらしく、それから一言も口を聞かなくなった。
俺は俺でムカつき収まらず。
結局早々に風呂から上がり、着替えている間もお互い終始無言のまま。
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