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きみは誰のもの 9

 夕食はバイキングか何かと思っていたら、広いダイニングルームで海鮮焼きがメインのコース料理だった。 「わわ、凄い、鮑が踊ってる~!」  ジュウジュウと美味い音をたてる海鮮達に益々テンションの上がる万優さんと、泡盛の種類の多さに目を輝かすヨーコさん。幸せな奴らだな。 「香取くん、飲みたい泡盛の銘柄ある?」  メニューを渡され、ふむと眺めてひとつ目に止まった。 「炎(ほむら)」 「飲みやすい?」 「俺は好きだけど」  じゃあそれにしようとアッサリ決まり、ボトルを注文するヨーコさんを眺めながら、ハルを思い出す。  以前一緒にいった沖縄料理屋で、炎を気に入ったのはハルだった。 (あいつも今頃飲んでるかな)  いや、明日の準備でそれどころじゃないか。サワケースケも仕事には厳しそうだしな。  そんなことを考えているうちに、乾杯コールが始まっていた。 「そういえば香取くん、コミコミ五千円マンションを出て今はお友達とシェアしてるんだって?」  ヨーコさんの問い掛けに思わず鮑を吹出しそうになる俺。  あ、危ねぇ、大事な鮑が。  青木を見れば、そんな話題した事あったかも~と声が上擦っている。出所はこいつか。 「お友達と同居って、どんな感じ? 疲れない?」 「あ、それ私も聞きたい」  グイグイ突っ込んで来る姉さん達に、半ば投げやりな返事を返す。 「……別に、疲れはしないけど」 「仲良いんだねー。お友達ってどんな人なの?  青木くんは会ったことあるんだよね?」 「うん、一言でいえばかなりのイケメン! 王子様みたいな顔してて」  あっさり答える青木の足を思い切り蹴飛ばすと、痛い!と声が上がった。  馬鹿か、俺とハルの話で会話膨らますんじゃねぇよ。

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