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きみは誰のもの 10
「えー! 会ってみたい!」
何があっても断る。
「でも聞けば聞くほど意外っていうか」
万優さんがしげしげと俺の顔を覗きこむと、隣でヨーコさんも頷いている。
「……何が」
「だって香取くんて基本、協調性あんまりなさそうだし」
成る程。
とりあえずこの短い会話で、一般的な俺の印象はあまり良くはないんだろうなという事はわかった。
「よっぽど気が合うのねえ」
(気が合う……合ってんのか?)
趣味も性格もまるで違うよなあと改めて考えれば疑問が生まれた。
(そういや俺達、何から親しくなったんだっけ)
バイトに無理矢理引き込んだ頃は、あいつもしょっちゅう俺にため息をついていた気がする。俺もバイトの穴さえ埋まればよかったし、どーでもよかった。
(なんだったかな……)
「香取くん、苦い顔してないでほらどんどん食べて。焦げるから」
そういいながら俺の皿に程よく火の通った見知らぬ魚を取り分けてくれる姉さん。美人で世話好きとくれば、まあ大抵は人気者だ。
それを言うならハルもそうか。アイツも職場で周りに世話やいたりしてるんだろうか。俺にするみたいに。
などと気付けばまたハルを思い出し、ぼんやりと姉さんの動く手を眺めていると、隣の青木に小突かれた。
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