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きみは誰のもの 12

◇◇◇ 「香取くん、結構酔ってる?」  ヨーコさんの問いかけに酔っていないと返すと、隣の青木が俺の前に水を置いた。  それを一気に飲み干し、再び泡盛のグラスに口をつける。  ふわふわして気持ちがいい。いくらでも飲める気分だ。  目をこすった俺にヨーコさんが、じゃあ香取くんに質問などと話を振ってきた。 「ねね、香取くんは今、特定の彼女いるの?」  何度聞いてもちゃんと答えてくれないし、という呟きまでは聞こえず。 「彼女……」 「うんうん」  ハルは、そんなんじゃない。 「いない……」 「わ、そうなの?」 「……は、違う」 「え?」 「そんなんじゃない、もっと、大事」 「え、やっぱりいるんだ?」 「はいはい、香取くんもう部屋で寝ようねー」  くいついたヨーコさんの言葉よりも大きな声を上げた青木が、テーブルに突っ伏しかけていた俺の肩と腕を持ち上げ、よいしょと自分の肩に回した。 「香取寝ちゃうから連れて行くよ、万優さん達はまだ飲んでる?」 「んー、部屋で飲もうかな。青木くん来れたらおいでよ」  皆の会話がぼんやりと耳に響くそれさえも眠りを誘う。気づけば俺はすっかり目をつぶり、青木の背中で揺れていた。静かな振動が妙に心地よい。  俺は青木の首にまわしているらしい自分の腕にほんの少し力を入れた。 「香取、職場じゃあんまり酔っ払わないのにねえ。あれじゃハルも心配しちゃうよ?」  青木の言葉はうまく聞き取れなかったけど、『ハル』という言葉だけは聞こえた。

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