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きみは誰のもの 19
共有する世界にいる二人と、そこには決して入れない自分。
(……そりゃそうだ。あいつの仕事なんかわかんねーし)
俺の世界とあいつの世界は別にある。そんなの当たり前だし、わかってる。
何を今更。
なのに沈んでゆく自分が確かに居て、苛立ちが込み上げて来た。ぶっちゃければ、そうだ。みたくないものをみてしまった。
ため息を一つつき、立ち上がろうとしたその時。
向こう側の二人が一瞬早く立ち上がり、あろうことかハルがこちらに顔を向けたのが見えた。
とっさに近くに置いてあった新聞を掴み目の前に広げ、暫くしておずおずと新聞をおろすと、二人の姿は既に消えていた。
(……なにやってんだ俺)
支払いを済ませ外に出れば、ふわりと風が吹き、潮の香りが鼻をかすめた。
海が近いんだな。
ふとおぼろげな記憶が脳裏に浮かび上がり、ああ、あれはどこだったかと思いを巡らす。
俺は再び車に乗り込み、青空の下を走り始めた。
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