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きみは誰のもの 25

「おばあの位牌に毎日拝んでたし、母ちゃんも墓参り行こうとか言わなかったし、正直あんま気にしてなかったっつーか。まあそれ以前にうち、すっげ貧乏だったしな。沖縄へ行くなんて選択肢がまずなかった」  笑って返せばしんみりされた。いや笑うとこだろここ、笑え。 「……まあこれからはたまに来るかな、墓参り。場所も覚えたし」  ぼそりと呟くと、ジュン兄は嬉しそうに微笑み、それから口を開いた。 「省ちゃんが出て行く前にポストへ入れてくれた手紙、ちゃあんと大事にとってあるよ」  げ。  確かに出て行く前に、ジュン兄だけにはありがとうと伝えたくて、下手っくそな手紙を書いた……気がする。 「んな昔のもん、いらねーだろ。何書いたかも覚えてねー」 「ふふ、宝物だよ……省ちゃんは私の初恋だったしね」  ぶほっ!  口に含んだばかりのさんぴん茶を思いっきり噴き出してしまった。 「っていうのは、いなくなってから気付いたんだけどね。あー、これって初恋だったんだって」 「は……は……」 「初恋は実らないっていうしねー」  カラカラと笑うジュン兄の横顔は楽しそうで、俺は口を拭きながらなんと返したもんかと考える。  初恋、ねえ。 「って、目つき悪くてちびくそな年下小学生のガキンチョにかよ。ジュン兄、趣味わりーな」 「えー? 省ちゃんはめちゃめちゃかっこよかったよ?」 「いやおかしいだろその目……」  ジュン兄は大きな瞳で瞬きを数回繰り返した後、ふふっと笑った。 「省ちゃんは沢山私を助けてくれたよ。お母さんに怒られて、ひとりで砂浜で泣いてた時も、ずっと隣にいてくれて、それからちゃんと謝って来いっていってくれたりさ」  遠い昔を思い出すように、ジュン兄は海を眺めながら語る。

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