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きみは誰のもの 33
「ハル、俺、お前に」
言いかけた所で、突然身体を離したハルが今度は俺の腕を強く引き、ホテル入り口へと歩き始めた。
「わ、ちょ、待て! どこいかすつもりだよっ!」
「俺の部屋」
「待て俺はすぐ帰るつもりで……それにサワケースケ」
するとハルは足を止め、クルリと振り返った。俺を見つめる表情は何とも言えない、切なげで、俺は言葉を飲み込んだ。
「圭介は別の部屋だから大丈夫だよ。省吾、すぐ帰るなんて言わないで。あともう少しだけでいいから」
うっと言葉が詰まった俺に満足したのか、満面の笑みを浮かべると再び勢いよく俺の腕を掴み歩きたしたハル。
待て、なんだこのなんかすげぇ騙された感!
首を回しながら俺達を凝視するロビー従業員達の前を通り抜け、エレベーターに押し込められるとあっという間に十階へ。
「俺は明日帰るだけだけど、お前は明日も仕事だろっ、マジすぐ帰る……」
わかってるよとハルの声が耳に届くよりも先に、視線前方の人影が目に入った。絶対に会いたくないと思っていたのに。
ホテルの一室から出てきた男は、こちらに気付くと驚いた表情で立ち止まった。
「驚いた。なんでショウゴ?」
サワケースケ。
ハルはサワケースケの問いには答えず、サワケースケがたった今出てきた部屋の隣の部屋の扉にカードキーを挿した。
って、となりの部屋かよ!!
ハルは俺の身体を部屋に押し込んだ後、まだ驚いた表情で立っているサワケースケにむかって人差し指をたてると「絶対に邪魔するな」と一言云い放ち、カチャリと扉を閉めた。
次の瞬間、くるりとこちらに身体を向けたハルにその勢いのままギュウウと抱きつかれ、ベッドへと倒れこんだ。
毎度の事ながら窒息寸前、てか力抜け!
けれど文句をいうより先に、ハルの唇が重なった。
チュウと吸い付き、離れると角度を変えて再び重なり、熱い舌が絡みつく。何度もキスを繰り返し、やっと解放されると再びぎゅうと抱きしめられ、今度は俺も目を閉じて、ハルの背中に腕をまわして抱きしめた。
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