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きみは誰のもの 38

 激しく突き上げられる度に揺れる俺の身体を、ハルの両腕が抱きしめる。  苦しいのに、嬉しい。目尻から流れた涙を舐め取られて、自分が泣いている事に気付く。生理現象による涙なのだと言い訳したくなったけれど、ハルの瞳に縫い付けられたらもう何でも良くなって、考えを手放した。代わりに、繋がれた指先に力を込める。 「好きだよ、省吾……好きだ」  余裕のない表情で、吐息のように言葉を吐く。俺もだと言葉を返せば、柔らかなキスが降ってくる。唇が重なり、離れるたびに名前を呼ばれ、返す間もなく唇を塞がれる。何度目かのキスの後に、やっと俺も名前を呼んだ。  見つめ合ってもその先の言葉が続かずにいたら、愛してると囁かれ、そうだ俺もそれが言いたかったんだと心の中で頷きながら、再び舌を絡め合わせた。  ハルがくれるもの全部が愛しくて、俺はその全てを受け止めたいのだけれど、それは溢れるほどに沢山で、沢山過ぎて、抱えきれないと呟いた。  ハルは当たり前だよと言って笑う。  溢れても溢れても、これからずっと。 ◇◇◇  汗ばんだ身体を寄せ合い、抱きしめ合いながら、ハルのにおいと体温を肌で感じる。それが嬉しくて俺はハルの胸に鼻をすり寄せた。 「ハル」 「うん」 「ハル」 「うん」 「……ハル」 「どうした、省吾」 「……どっちが嫁なんだ、この場合」  声をあげてハルが笑った。

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