348 / 428
きみは誰のもの 38
激しく突き上げられる度に揺れる俺の身体を、ハルの両腕が抱きしめる。
苦しいのに、嬉しい。目尻から流れた涙を舐め取られて、自分が泣いている事に気付く。生理現象による涙なのだと言い訳したくなったけれど、ハルの瞳に縫い付けられたらもう何でも良くなって、考えを手放した。代わりに、繋がれた指先に力を込める。
「好きだよ、省吾……好きだ」
余裕のない表情で、吐息のように言葉を吐く。俺もだと言葉を返せば、柔らかなキスが降ってくる。唇が重なり、離れるたびに名前を呼ばれ、返す間もなく唇を塞がれる。何度目かのキスの後に、やっと俺も名前を呼んだ。
見つめ合ってもその先の言葉が続かずにいたら、愛してると囁かれ、そうだ俺もそれが言いたかったんだと心の中で頷きながら、再び舌を絡め合わせた。
ハルがくれるもの全部が愛しくて、俺はその全てを受け止めたいのだけれど、それは溢れるほどに沢山で、沢山過ぎて、抱えきれないと呟いた。
ハルは当たり前だよと言って笑う。
溢れても溢れても、これからずっと。
◇◇◇
汗ばんだ身体を寄せ合い、抱きしめ合いながら、ハルのにおいと体温を肌で感じる。それが嬉しくて俺はハルの胸に鼻をすり寄せた。
「ハル」
「うん」
「ハル」
「うん」
「……ハル」
「どうした、省吾」
「……どっちが嫁なんだ、この場合」
声をあげてハルが笑った。
ともだちにシェアしよう!