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きみは誰のもの 41

◇◇◇  沖縄旅行から戻り、久々の一人暮らしの二日間はあっという間に過ぎ去った。というよりほぼ寝ていた。  目覚めると時刻はもうすぐ昼の十二時。  大きく伸びをしてむくりと身体を起こすもまだ怠い。というより寝過ぎて怠い。  ハルが居ない休日は、幾ら寝たって文句を云われる事もなく、それはそれで快適だ。とはいえそろそろ帰ってくる頃だし、まともに起きておかないと何を云われるかわからない。 「起きるか……」  欠伸をしながらサイドボードのスマホを手に取れば、朝から五件の着信表示とライン通知が一件。  予想を裏切らずの、オール、ハル。 「げ」 『まだ寝てる? お昼には帰るよ』  やべぇ。  慌ててシャワーを浴び、濡れた髪のままリビングへ戻った所でインターホンがなった。どうせハルだろうと上半身裸でバスタオルを肩にかけたまま扉を開ければ、目の前に現れたのはサワケースケ。 「わっ!」 「いい格好でお出迎えだね。ただいま」  お前のただいまなんていらねーよと心の中で舌打ちをしながら、肩を担がれた格好のハルに驚く。  サワケースケから奪い取るようにハルを正面から抱え込むと、弱々しい声でただいまと囁かれた。 「なんだハル、どうした?」 「うーん……乗り物酔いかな」  お前乗り物弱かったっけ?と聞くより先に、サワケースケが口を開いた。 「正確には二日酔いによる乗り物酔いだね」 「ハルが二日酔い? どんだけ飲んだんだよ」 「最終日の打ち上げパーティで、鹿児島の酒豪先生に捕まったらしくてねー」  ハルもまだまだだよねと笑うサワケースケ。お前はその時何をしていたんだ。 「これじゃ昼飯どころじゃねぇだろ。寝室行くか」 「うん、省吾おぶって」 「甘えんな、とりあえず自分で歩け」  ハルに肩を貸しながらサワケースケに視線を向けると、帰る気配がない。 「……あんたもお疲れ様。じゃ」 「ハルをここまで運ぶのに疲れたから、お茶の一杯でも貰おうかな」  げ。マジか。  そのニヤついた顔、何を企んでるんだよ。

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