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きみは誰のもの 46
◇◇◇◇
パタンと扉が閉まる音が聞こえ、うっすらと瞼を開く。
隣で眠っていた筈のハルが居ない。
寝ぼけながら片手を伸ばし、掛け布団をパフンパフンと叩いてみても、やっぱりいない。
「何やってるの」
クスクスと笑い声が聞こえ顔をあげると、頭からバスタオルを被ったままジーンズに足を通しているハルが目に入った。
「体調、良くなったのか」
「少し寝たら大分良くなった。昼御飯まだだろ、ゴメン、何処か食べに行こう」
「んー……」
「お腹減ってないのか?」
「うーん……」
起き上がらない俺に痺れを切らしたのか、ベッドの上に戻ってきたハル。
ギシリと音をたてながら俺の上に這い上がり、そのまま体重をかけてきた。
濡れた髪から雫が零れる。
「重っ! どけ、起きるから」
「外が嫌なら俺が何か作るよ」
「いやこの場合、作るの俺だろ」
「うん、それがいいな」
しまった。
「お土産の沖縄蕎麦があるよ」
「それにしよう」
俺が即答すると、ハルは笑顔で俺の身体から離れた。
「何処行くんだよ」
「何処って、髪を乾かすだけ……どうしたの、省吾」
思わずハルの腰に腕を巻き付け再びベッドへ引きづり混んだ俺に、少し驚いたような声をあげるハル。
「沖縄から、省吾が可愛過ぎて困るんだけど」
嬉しそうに俺の身体を抱きしめたかと思えばピタリと止まり。
「何か変だな、さっき圭介に何かされた?」
こ、こいつ。
何でこういちいち勘が鋭いんだ。
「なんもねぇし、ただ……やっと家に帰ってきたから、お前が」
顔を見られないようにハルのわき腹に顔を寄せながらしがみつくと、ハルは嬉しそうに俺の髪を撫でた。
「省吾、寂しかったの?」
いや実は結構快適だったとか、口が裂けても言えない。
「……かも」
言葉を濁してハルのわき腹に唇を寄せた、その時。
「……なんだこれ」
「え?」
がばっと身体を起こし、ハルをベッドに押し倒す。
「な、なに、省吾?」
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