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きみは誰のもの 51

 リビングテーブルの上で揺れるスマホを手に取り、眉間にシワをよせるハル。チラリと俺を見た顔で、相手はサワケースケだろうとわかる。  俺は知らぬ振りをして、食べ終えた食器を手に立ち上がり、シンクへと移動した。 「はい……圭介お前、その前に俺にいう事はないのか」  リビングの声なんて丸聞こえ。俺は蛇口をひねり、食器を洗い始めた。水音の隙間から聞こえてくるハルの声に思わず耳を傾けてしまう。 「経緯を省くな、なに? ……それは悪かったけど、何でそうなるんだっ……ふざけるなっ! 誰がかわるかっ」  ハルが声を荒げたところで静かになり、まあ予想通りだったなと思いながら食器を洗い終え、蛇口の水をを止めた時。 「省吾、圭介が省吾にかわれと煩いんだけど……どうする?」  は?  話す事ねーよと言いかけてから、あからさまに出て欲しくないという表情のハルに気付き、ふと考え直す。  この時の俺は、ハルが嫌がる事をしてやろうと思ってしまったんだ。後で後悔するなんて、少し考えたらわかる事なのに。 「……出る」  うっと言葉に詰まったハルからスマホを受け取り、キッチンへ向かって歩きながら耳に当てた。 「何の用だ」 『先程はご馳走様。ハルの体調も良くなったようでよかった。仲良くセックスも楽しんだかな?』  耳障りな程陽気な声に苛立つ。 「あんたと雑談なんてする気はねぇよ、用件を言え」  チラリとハルの姿を確認すると、既にダイニングテーブルに戻り、歯ぎしりをしそうな勢いでこちらをじっと見つめている。いやそれ見過ぎだろ。  俺が作ったそばを放置してんじゃねぇよ。  冷蔵庫から缶ビールを取り出し、プシュリと開けたところで、サワケースケが再び口を開いた。 『あの印は、ハルとショウゴへのプレゼントのつもりだったんだけど、気に入ってもらえたかな』 「お前、今度会ったらマジで一発殴らせろ」

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