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きみは誰のもの 53
『ショウゴよりずっと長くね……ハルの事はよくわかっているし、口ではなんと言っても、ハルは俺に気を許す。昨晩のようにね』
囁くようなサワケースケの声が、苦味と重なり、じんわりと広がっていく。
途端、再び陽気な声に戻ったサワケースケは、楽しそうにこう言った。
『さっきの件、俺からの条件はショウゴとのデートでどうかな?』
「あほか、んなもんするか」
『ハルと俺の思い出話もオプションでつけるよ♪』
「いらねー。断る」
電話の向こうでまたクスリと笑いが漏れた。
『なんだ、残念だな。交渉決裂だ』
「言いたい事はそれだけか、切るぞ」
『はは、最後まで口が悪いな。じゃあ話の続きはそのうちまた偶然会えた時にしよう。ああ、ショウゴを調教したいなあ』
最後の台詞は完全無視して電話を切った。
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