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きみは誰のもの 55
外へ出ると、麗らかな午後。風が心地よく頬を撫で通り過ぎて行く。
行き交う人々も天気のせいか、のんびりと平和そうに見える。
先程までの苛立ちも収まり、あそうだ観たい映画あったなとタイトルを思い出しながら目当てのレンタルショップに辿り着いた。
が、どう見ても閉まっている。定休日なんてなかっただろうと正面入口の前で立ち尽くしたとき、見逃す程の小さな張り紙を発見した。
「……改装の為休業?」
いつからだよ!
毎日通っているのに何で気付かなかったんだ俺。
がくりと肩を落とし渋々帰るかと考えたものの、観たかったタイトルを思い出してしまったからにはもう何が何でも観たくなる。
そうなったら意地になり、一駅先のターミナル駅まで足を伸ばすことにした。
駅に降り立ち早々後悔した。
先程までののどかさは消え、休日のターミナル駅は人、人、人。ため息をひとつついてから、人混みをかけわけ駅ビルを目指し歩き始めた時。
「あれっ、省吾?」
聞き覚えのある声に名前を呼ばれ振り返ると、完治がいた。
「あ、やっぱ省吾! おいおいGWど真ん中で一人かよ? スゲー偶然、ウケる」
俺の肩を叩きながらケラケラ笑う男。
「何だよ完治。こんな所であうなんて驚きだな。てかお前だって一人じゃねぇかよ」
こっちで地元連中と遭遇するのは珍しい。GW効果か。
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