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きみは誰のもの 56

「さっきまで女と居たんだって。でも帰られちゃってさあ」 「ふぅん」 「いやお前そこ突っ込んでやれよ俺に! 何かあったのかって」 「別に興味ねぇよ」 「うわ出た口癖! どーでもいいと興味ねぇ」  再びケラケラと笑う完治をシラッと眺めながら、お前のウザさも相変わらずだなと喉まで出かけ、絡むのも面倒だと飲み込んだ。 「それがさ、ついこの間うっかり一回だけヤった女と偶然かちあっちゃってさ」  結局聞かなきゃいけないのか。 「こんな人混みでだぜ、最悪もいいとこ。ヤったのばれて、スゲーキレられちゃった」 「アホか。お前まだそんな事やってんの」  完全天罰だな。 「いやいやもうかなり久々の粗相だったんだって! でお前なにしてんの、暇なら久々に軽く飲もうぜ」 「こんな昼間から飲むかよ」 「すぐそこに立ち飲み屋あったし、軽く軽く、な」  人懐こい顔で俺の肩を叩く。ほんとこいつも変わんねぇな。  ため息混じりに頬を緩め、しょうがねぇなと二人で歩き出した。

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