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きみは誰のもの 59

「お前の母ちゃんも、そろそろ孫が見たいなんてボヤいてたぞ」  孫の前に嫁でしょって突っ込んどいたけど、といって笑う完治にあわせて、俺も少しだけ笑った。  何で笑ってんだ俺。 「元気そうだけど、やっぱ心配なんだよお前の事。盆暮れ以外でもちゃんと顔出してやれよなー」  ついでに俺達のとこにも顔出せよと肩を叩かれ、そうだなと小さく呟いた。  店をでて別れ際。 「あーなんか俺今日省吾に会えて良かったかも」 「何だよ、気持ち悪りぃな」  本当に気持ち悪い。何だその爽やかキャラ。 「いや、春に異動になってから忙し過ぎて地元連中と会う時間もなかったし、真面目に結婚考えたり、久々デートで浮気バレてブチキレられるし。俺的にストレス溜まってたみたい」 「いや最後のは完全自業自得だろ。土下座してこいよ」  あいつが落ち着いた頃に土下座してくるよと笑う。  全く、反省してんのか。 「はは、こんな会話もさ……やっぱ地元仲間は肩の力抜けるってか、うん、気持ちどかっと落ち着くんだよな。長い付き合いって大事だわほんと」  完治の言葉に俺は少し考えて、それからボソリと呟いた。 「……ふぅん」 「お前も俺と語らって癒されただろー」 「それはない」  それはないけど。  ケラケラと笑う完治を眺めながら、確かに気は楽だなと妙に納得する自分がいた。  そういやそうだ。  ジュン兄に会った時も、また少し違うけれども、こんな気持ちだった。 「……皆、そんなもんか」 「ん? わかんね、けどそんなもんじゃねぇの」  そんなに改まって考える事でもねぇよと完治は笑った。  

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