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きみは誰のもの 60
目当ての映画も無事にゲットし、マンションへ戻った頃には既に十八時になろうとしていた。
休みはまだあるしゆっくりできるなと考えながらエレベーターへと乗り込み、四階でドアが開いた瞬間、美味しそうな匂いが鼻をくすぐった。
どこの家の夕食だろう、トマトを煮込んだような匂いに、思わず腹がぐうと鳴る。
そうだ夕飯はどうしようか、ハルはまだ部屋に篭っているだろうし、適当に何か作るかと考えながら玄関前にたどり着き、足をとめた。
鼻をくすぐるこの匂いは、目の前の扉の向こうから漂うものだと気付く。
ギイィと重い扉を開くと、その匂いは一層強くなった。
リビングに明かりがついている。
ハルが部屋から出てきているという事に動揺しながらリビングの扉を開けると、キッチンからハルが顔を出した。
「お帰り、省吾」
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