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きみは誰のもの 76

「ってめ、ころす気かっ!!」  思わず叫び両目を開けると、目の前には真っ白な天井。  ……夢か。  いや、夢じゃない。  シャンプーの香りを漂わせながら俺の身体にしっかりとへばりついて離れない物体。  頬に触れていた柔らかな髪がゆっくりと離れ、見飽きる事のない端正な顔が目の前に現れた。 「省吾、おはよう……ただいま」  俺が口を開くよりも先に唇が重なり、ちゅうと吸い上げられ。 「……帰ってくるなり寝込み襲ってんじゃねぇよ」 「徹夜で仕事を片付けて、朝イチの便で帰ってきた」 「そっか、お疲れ」  抱きしめたくて狂いそうだったと微笑まれキュンと胸が苦しくなる。  駄目だ、こんな乙女は俺じゃない。勘弁してくれ。 「跡、消えたよ確かめて」  嬉しそうに微笑む表情につられ、思わず俺の頬も緩んでしまう。  おかえりと呟き、再び重なった熱を味わうようにハルと俺は舌を絡ませ何度もキスを繰り返した。  

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