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きみは誰のもの 77
◇◇◇
シャワーを浴びてリビングへ戻ると、ダイニングテーブルには二人分のサラダとマグカップが用意されていた。けれどもハルの姿がない。
キッキン奥にいるのかと覗いて見てもやっぱりいない。
寝室かなと考えながら、とりあえずテレビでもつけるかとリモコンを探しにソファの前までまわった所で、ハル発見。
ソファの肘掛けにクッションをあて横たわり、すうと寝息をたてている。ほんの少し横になるつもりが寝てしまったのか。
「まあ……そりゃ疲れてるよな」
俺はソファの前で床に腰を降ろし、ハルの寝顔をじっと見つめ、はあと小さくため息をついた。
「こいつの頭の中って、どんななんだろ……」
徹夜明けの男が帰ってくるなり何を言い出すかと思えば、禁欲後にしか出来ないセックスをするとか。
(それを考えたら禁欲が楽しくなったとかマジ顔で言うし、本当にアホだ……これが優秀な研究員てヤバイだろ、こいつの会社)
ハルは本当に時々何を言い出すかわからない。
「相当疲れてたくせに、朝食はちゃんと用意するとか、ほんと……」
(俺に尽くしすぎだろ……)
あどけない寝顔を見つめていたらさっきまでの激しい出来事も、なんもかんもが可笑しくなってきて、無性に笑いが込み上げてきた。慌てて口元を押さえたものの、喉奥の音までは抑えられず。
「くっ……ふふ」
「……ひとの寝顔みて笑うか」
ハルの両目が、ゆっくりと開いた。
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