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きみといつまでも 8

 休み明けの深夜残業を終え、帰宅してリビングのドアを開くなり、冷んやりと冷気が漂ってきた。 「何だ?……さむ!!」 「あ、省吾おかえり」  ソファに座っていたハルが振り返ると、その表情はやけにご機嫌だ。 「この部屋寒すぎだろ、温度上げろよ」  スーツの上着を脱ぎ、リビングテーブルに置いてあるリモコンへ手を伸ばしたところで、身体ごとハルに引っ張られソファに座らされた。  ニコニコしながら、何を期待してるんだこいつ。 「なんだよ?」 「早く早く」 「は?」 「俺に抱きついたらあったかいよ」 「はあ?」 「昨日みたいに擦り寄って。早く」  エコはどうした。  目をキラキラさせながら待ち構えるハルをガン無視してエアコンを止めた俺の選択は間違ってないと思う。 <終わる>

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