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25時のメリー・クリスマス 5

◇◇◇  目が覚めると、まず視界に入ったのは白い天井。横を向いていたはずの身体が上を向いていることに気付く。首周りが楽だと手を当てれば、ネクタイは外され、シャツのボタンが3つ外れていた。 「具合はいかがですか」  声のする方へゆっくりと首を向けると、ベッド脇に腰掛けた岡田が俺を見下ろしていた。 「……帰る」 「あはは、それしか言いませんね、お水は飲めますか?」 「……飲む」  まだズキンズキンと痛む頭を抑えながら身体を起こし、水の入ったグラスを受け取り一口喉に通してから、ふと時計を見ると二十二時を過ぎていた。 「少し眠っていました」  くそ、何で起こさないんだよ。 「ここから駅までどのくらいかかる?」  慌てて上掛けを払い、ベッドから起き上がろうとしたところで岡田に両肩を掴まれ、勢いよくベッドの上へ押し戻された次の瞬間には俺の身体の上に馬乗りになっている岡田を見上げていた。 「そんな状態で電車になんて乗れませんよ」  一気に蒼白。 「じゃ、タクシーで帰る、とにかくどけ」 「キスしてもいいですか」 「あ、アホかふざけんな、駄目に決まってんだろ」 「でも今すごくキスしたい」 「じょ、冗談もいい加減にしろっ!」  何とか起き上がろうと手足をばたつかせても、まるで動じる気配のない岡田は、少し残念そうに顔をしかめた。 「俺に縛りプレイを求めてるんですか?」  な、に、お、言ってるんだこいつは。  反論するよりも早く、両手首を頭上に持ち上げられ、あっという間にネクタイで縛り上げられるとかマジでありえねぇ。

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