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25時のメリー・クリスマス 7
冗談でも笑えない。全部夢であって欲しいと、現実逃避しかけた時。
「な、何ですか、ちょっと」
「香取を引き取りに伺いました、お邪魔します」
よく知った声が聞こえ重い瞼を押し上げると、勢いよく扉が開き、目に飛び込んできたのはハルの姿。
「ハ……」
目が合うなり怒鳴られるかと思いきや、ハルは口元をぎゅっと結んだまま俺を抱き起こすと手首からネクタイを外し、てきぱきと服を整え始めた。無言の身体から湧き上がる怒りのオーラを感じて俺も言葉を出せないまま、されるがままに今度はハルに担ぎ上げられた。
今日はなんて厄日だクリスマス。
「あの、」
入口ドアの前で口を開きかけた岡田の言葉を遮るように、同時にハルが口を開く。
「きみは省吾の後輩だから、今回限りは許す、でも」
次の瞬間うっと呻き声が上がり、重い頭を持ち上げて薄目を開けると、ハルの右手が岡田の首根を締め上げていた。
「ハ、ハル馬鹿、はなせ!」
喉を絞り上げて叫んだ俺の声が効いたのか、ハルは締め付けていた手を弛め、岡田はその場に崩れ落ち、苦しげに咳き込んだ。
「次はないよ?」
冷ややかなハルの声に悪寒が走り、思わず震えた俺の身体を、ハルはぎゅっと抱きしめた。
「帰るよ、省吾」
うずくまり咳き込む岡田の背中を見つめ、明日どうやって顔を合わせたらよいものかとぼんやり考えながら、ハルと俺は岡田のマンションを後にした。
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