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25時のメリー・クリスマス 9

「ここまで我慢した自分を褒めてあげたいな……」  押し殺した声で呟いたあと、リビングに入るなり全てのカーテンを全開にしたハルは、バルコニーへ続くガラス扉に俺の身体を乱暴に押し付けた。  夜中とはいえ、目下の大通りにはまばらに人の姿も見える。頬に押し付けられた窓ガラスの冷たさに思わず目をつぶると、背後から凶悪な力で抱きしめられ、ギシギシと骨が軋む。 「待っ、痛ぇ、し、外から見え……」 「うん、まだ人が歩いているね」  耳元で囁かれ、急激に身体が熱くなる。薬のせいだろうか。 「こんな風に身体を熱くさせて、あの男を誘ったの」 「ちがっ……」 「俺以外の男に視姦されてあんなに身体を反応させるなんて、悪い子だな」  ギリギリと窓ガラスに身体ごと押し付けられ、痛みと息苦しさに必死で身体をよじってみても、放して貰えない。  絞め殺されると覚悟を決めた瞬間、ふいに腕の力が緩み。  次の瞬間には力任せにシャツを引き剥がされ、ボタンがはじけ飛んだ。  お前の顔そんなキャラじゃないだろ。  なんて言える状況では勿論なく、今度は裸になった胸を窓ガラスに押し付けられる。 「こ、こんなとこで何す」 「見て、あの人、こっちを見上げてる。見えてるんじゃないかな」  耳元で囁くハルの声は限りなく静かで、それがハルの怒りだと伝わってくる。まさかここでやるつもりか。 「見られて感じるなら、あの人に見せてあげようか、俺にぐちゃぐちゃにされてる省吾の姿」 「ハ、ハル、や……」  抵抗しようともがく俺の身体を力で押さえつけるハルの表情が窓ガラスに映る。  歪みひとつ見当たらない、まるで氷の仮面。 「今日は優しくしないよ、悪い子にはお仕置きだ」

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