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4 気持ちいいこと

「ふへへ……エッチな気分って。だよね、見りゃわかるよね。お兄さんめっちゃ勃起してるもん」  少し体を起こし覗き込んでくる智は興味津々に見える。その態度に蓮二はほっとした。  よかった。気持ち悪がられなかった……そう思ったのも束の間、この後続いた智の言葉に思考が止まる。 「いいよ。こっちおいでよ。一緒にエッチなこと、しよ?」 「……へ?」  もちろん蓮二はこういう状況は未経験だ。好きになった相手もいなかったわけだから当たり前だ。セックスは勿論、キスすら経験したことがない。 「ほら、早くおいで」  突然の誘いに少し混乱。  智は男の自分を相手に同じように欲情するというのか? 初めて好きになった相手も、自分と同じゲイだったのか?   これはまさしく「運命」だったのでは??──   そう思ったら嬉しさで顔が綻んでしまいしょうがなかった。 「いいのか?」 「ん? いいよ、俺も何だかそういう気分……」  蓮二は横になる智の横に遠慮気味に身を寄せると、先ほど感じた匂いと汗ばんだ肌に触れた。途端に堪らなくなり、両腕で智の体を抱きしめ、その首筋に顔を寄せる。  初めて感じる他人の温もり。  好きになった人の小さな吐息が頬に触れる、ただそれだけでどうしようもなく気持ちが高揚した。 「んんっ……擽ったい、お兄さんがっつき過ぎ」  ヘラヘラと笑う智は、まだ酔いが覚めていないのかあまり体に力が入っていないようだった。だらしなく半分脱ぎかけのシャツのボタンを、蓮二は緊張して震える指先で順に外していく。智はそんな蓮二にされるがまま、ただ楽しそうにその様子を眺めているだけだった。  こういうことに慣れていないのと、まるで協力的ではなく寝たままの智のせいで、服を脱がすのも一苦労だった。少し苛つきながらもやっと自分の下着も脱ぎ捨て、逃げられないよう智の上に跨った。  蓮二は改めて裸になった智を見る。  自分と比べ、かなり逞しいその裸体に溜息が出た。鍛えているのか、何かスポーツでもやっているのか……男から見ても魅力的な筋肉質な体に思わず見惚れてしまっていると、そっと智が蓮二の太腿に手をおいた。 「ちょっと? 見過ぎ…… なあ、これからどうするの? 早く気持ちいことしてよ……」  恥ずかしいくらいに勃起したペニスに、直接智の手が触れる。突然の刺激に驚き思わず腰が引けてしまった。それでも智が触ってくれたことに嬉しくなる。恥ずかしさと嬉しさで興奮が増し、荒々しく智の下着を剥ぎ取った。  経験がないとはいえ知識はちゃんとある。やり方だってわかっている。お望み通り、ちゃんと気持ちよくしてやるから安心しろ…… そう蓮二は心の中で息巻き、智の膝裏を抱えグッと広げた。

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