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5 キス
「え? ちょっと待って。お兄さん、もしかして俺を抱こうとしてる?」
蓮二が鼻息荒く智の尻の割れ目に手を這わすと、やんわりとその手を払われてしまった。
「だって気持ちいいこと、するんだろ?」
「うん……そうだけど。まぁいっか……あっ、ふふっ、擽ったいよ」
やっぱり力なく蓮二にされるがままの智は、ヘラヘラと楽しそうに見える。
童貞で、初めての体験で気持ちも焦ってしまっているというのに、智の余裕のある感じが悔しかった。自分は何もしないくせに、擽ったいだの早くしろだのうるさいから、押さえつけるようにして智にのしかかり強引に唇を奪った。初めてのキスは生温くて柔らかく、そしてほんのり酒臭かった。
「少し黙ってて…… ムードない」
ムッとしながら智を睨む。今すぐにでもこの張り詰めた自身を押し挿れてやりたいのに、くたっと力の入っていない智の体をどうこうするのは難しかった。
ちゃんとローションを使い、受け入れる準備をしてやらないと入るものも上手くいかない。痛い思いをするのは智なのだ、と、蓮二はぶつぶつ言いながら智のアナルに指を立てる。
「ひゃっ! ちょっと……あっ……んん、マジで? あ……あん」
智の思いがけない可愛い嬌声に、気持ちが良いのだと蓮二は認識し更にその指を増やした。
「こう? 気持ちい? 中、凄くあったかい……」
自分の動きで可愛い智が声を上げて体を捩るのが堪らなく嬉しい。おまけにこんなにも酔っ払っているというのに、智のペニスも自分と同じに勃ち上がり、ひくりと揺れている。
「なあ、どうだ? 気持ちいい?」
「うぇ……やだ、あんまグリグリしないで」
「あっ、ごめん! 痛かったか?」
クネクネと腰を捻るようにして指から逃れようと動く智に、蓮二は慌てて体を離した。
「ううん、痛くはないよ。でもお兄さん、俺に挿れるのは今日は無理だよ……ちょっと落ち着こ?」
智は体を起こすと、やんわりと蓮二の体を抱きしめキスをした。
先程自分が強引に奪ったような軽いキスではなく、ぬるりと互いの舌が絡まるいやらしいキスに蓮二はたちまち力が抜ける。
こんなキス、知らない……
口内を弄る初めての感覚に怖くなり逃げようにも、智の手が蓮二の頭を捕まえ離してくれない。おまけに押さえつけている指先が蓮二の両耳をゆるりと擽りゾワっと快感が体を突き抜けた。
「んんっ……ふぅ……ん」
力が抜け、思わず智に体を預ける。何故だか満足そうな智は「お兄さん、もしかして感じやすい?」とニコリと笑う。悔しくなって「そんなことない」と言うも、敏感に勃ち上がったペニスを緩々と握られ擦られれば、今にも果ててしまいそうだった。
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